パスタをゆでるときに入れる塩の効果は?

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パスタをゆでるときは、海水くらいの塩辛さになるまで塩を入れること、というのは良く言われる話です。お湯の量の0.5%~1%を入れるのが一般的なようです。

一方で、塩を入れる必要はない、という意見もあります。私はこの無塩派の主張に興味があり、調べたことがあります。

理由はともかく、おいしいパスタを作るには、

普通に言われる程度の(お湯の0.5%~1%程度の)塩を入れる!

ことだと思っています。でも、コシを強くするためではありません。

塩を入れてもコシは変わらない

無塩派として良く取り上げられているのは、東京家政大学 長尾慶子教授の以下の記事です。

※プレジデント社の元サイトがリンク切れのため、以下はWayback Machine から。

スパゲティをゆでるときは塩なしでOKです | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online
塩を加えても加えなくても食感に変化はない。大事なのはゆで時間と、お湯の温度・量。麺のコシを強くする上手なゆで方とは?

塩を入れるのはコシを強くするためといわれています。一般的なゆで方は、麺の重量の10倍程度の水を沸騰させ、そのお湯の約0.5~1%の塩を加えてゆでるというものです。

しかし、塩を入れてゆでたスパゲティと塩を入れずにゆでたスパゲティとでどのような違いがあるかを調理学の専門家で官能テストをしたことがありますが、塩を加えても加えなくても麺の食感には変化は認められませんでした。つまり、この程度の塩の量では、口触りに変化は見られない、ということです。

東京家政大学のサイトを見ると、長尾教授は食品に関する実証的な研究を多くなさっておられることがわかります。信頼性の高い情報だと思います。

東京家政大学 研究者情報データベース

孫引きの情報ですが、「世界一受けたい授業」でも、東海学園大学 西堀すき江教授により塩不要の主張が放送されたことがあるようです。

塩を入れて茹でた麺も、入れないで茹でた麺も硬さ(コシ)は変わらない。
塩を入れる理由は下味をつけるため。

参照元はこちら。

[世界一受けたい授業] 8月18日/パスタを茹でる時塩を入れない アサリは砂抜きしない きのこを水洗いしない りんごの変色を抑える ごぼうはアク抜きしない 肉を柔らかくする食材 肉の脂が落ちる調理法 西堀すき江 常識を覆す実験料理教室 | 七転八起
2012年8月18日 日テレ世界一受けたい授業はあなたの常識を覆す実験料理教室パスタを茹でる時塩を入れる必要はない,アサリは砂抜きしなくていいきのこを水洗いしてはいけない,りんごの変色を抑えるにはレモン汁ごぼうはアク抜きしなくていい,肉を柔

 

ワシントンポストで料理に関する疑問を化学専門の大学教授が答える、という連載があり、その内容をまとめた書籍があります。こちらでも、塩とコシの関係を否定しています。

塩を加える理由は、きわめてシンプル。食べ物の風味が増すからです。他の調理法で使用するときと同じです。それ以外には何の意味もありません。

沸点の上昇やパスタの固さにも言及していますが、大した影響はなく、塩はパスタの味がぼやけてしまうのを防ぐために入れる、と記載されています。

多めの塩ならコシが強くなる

究極のペペロンチーノを目指して、塩の量やお湯の量やパスタの種類を様々に変えて試食を繰り返し、結果をまとめた本があります。1冊まるまるペペロンチーノの作り方というこだわりの本です。目からうろこが落ちる内容が盛りだくさんの、パスタ道を究める方は必読の書だと思います。

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この本では、塩の量でコシが変わったと書かれています。以下の引用では1リットルのお湯で作っています。

ところが、塩の量がさらに増えると、結果は変わってきたのである。

塩25グラムになると、家族の全員が硬いと感じた。歯を押し返すようなムチッとした硬さである。30グラムでよりはっきりとした硬さを感じ、40グラムでは硬さを感じるとともに、デンプン塊の中心の白い部分を粉っぽく感じた。50グラムでは、その傾向はさらに顕著で、白い部分は固まった片栗粉のような粉っぽさ。もう差は歴然だった。

つまり、塩分濃度が2.5%以上になるとパスタの硬さが変わった、ということです。一般に言われる塩の濃度は0.5%~1%ですから、その倍以上の塩を使っています。これでは塩辛さが強くなりすぎ、かなり特殊な作り方と言えそうです。

塩はできあがりの味を引き締めるため

以上をまとめると、塩の量でコシは変わるものの、一般に言われる0.5%~1%程度の塩ではコシは変わらない、と言えそうです。

無塩派の内容を知った僕は、一時期、パスタをゆでるときに塩を入れませんでした。その時は、ソースの塩気を強めにして、ゆであがったパスタにソースを絡めてしまいます。この方法でコシが十分にあるパスタができあがり、使う塩も少なくて済みます。

ただし、ゆで汁で薄くなるのを見越したソースの塩加減がとても難しいのです。また、パスタにソースを十分に絡めないと、水っぽさが残り、味がぼやけてしまいます。この辺りが面倒になり、今は少なめのお湯に塩を入れてゆでています。

お湯に塩をなぜ入れるのか、という疑問に対する答えは、「コシを強くするから」ではなくて、「できあがりの味を水っぽくせずに、引き締めるため」というのが僕の結論です。

コメント

  1. より:

    つまりやっぱり無塩で良いってことだよね
    味の問題は単に作り手の問題。プロ並みの塩分量で作れば当然パスタの塩味強くなるけど、それをソースの塩味減らして調整しているんだし、逆も然り
    そして普通に塩味付けるなら、塩水で茹でたときにつけるような量。1リットルなら5グラムもの塩は必要無い
    きちんと上手く作れるなら茹でるときに塩は勿体無いし不要という結論になる(コシに差が出るプロ並みの量入れるなら別として)

    別サイトとか見ると「作ったら味が違う!食べればわかる!」とかいう馬鹿が多かったけど、調理法に合わせて調整できない無能の証明ですな

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