筆跡で性格が判断できたら大変面倒かもしれない

以前、採用時は手書きの履歴書で人柄を見たいという企業が少なくないらしい、というエントリを書きました。

その後、筆跡と性格の関係をつらつら調べていたら、すごい記事を見つけました。

「日本筆跡心理学協会から、筆跡と性格の関係は96%一致するという研究データが発表された」らしい!

筆跡診断士がみる、新元号「令和」&2018年の漢字「災」
江戸時代の儒学者・佐藤一斎は、「書には人となりがあらわれる」との言葉を残したという。すっかり手書きを見かけることの少なくなった昨今でも、文字を見れば書いた人の横顔が思い浮かぶ感…

筆跡から性格がバッチリわかるのならすごいことです。AIでいろんなことができるようになってますから、手書き文字から性格がわかってもおかしくない気がします。なにしろ96%ですから、きっとバッチリです。

でも、これが本当ならあまり喜べないかもしれません。

ある人の性格がわかるということは、その人の未来の行動が予測できるということです。私はかつて企業の採用部署にいまして、採用や昇格判定のときに性格検査を行っていました。これは、その人が入社後や昇格後にどんなことをするか、というよりどんなことをやらかすかを予測して、やばい人は避けたい、というニーズに基づいていました。

もし少ない量の手書き文字から高い精度で性格が判断できたら、おそらく採否やら合否やらに使われはじめるので、そうなると手書き文字は大変重要な個人情報になって、取り扱いが面倒になってきますし、倫理上の問題も出てきます。不安材料が多いです。

前述のWEB上にがあった「筆跡と性格の関係は96%一致するという研究データ」を探したのですが、結局、ネット上からは見つかりませんでした。大変残念です。

筆跡で性格がわかる、とおっしゃる方はたくさんいると思うのですが、学問としての研究では筆跡と性格の関係は見つかっていないようです。以下はネット上で見つけた国内論文です。

・筆跡とパーソナリティの多面的対比 言語処理学会 第17回年次大会 発表論文集(リンク
・手書き文字の感性印象と筆跡から推測されたおよび実際の書き手のパーソナリティ特性との関連について 昭和女子大学生活心理研究所紀要 2012年(リンク

海外事例は以下の本に出てました。こちらも関係は見つからないとのこと。
・ハインズ博士 再び「超科学」をきる 2011年 化学同人(リンク
・懐疑論者の事典 下 2008年 楽工社(リンク

今のところ手書き文字から性格を読まれることはなさそうなので、書いたものをどこに提出しようと安心です。今後は本気でAIを利用した筆跡と性格の研究が増えるかもしれません。トピックスとしては興味のあるところです。

Image by Free-Photos from Pixabay

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