
親知らずの歯を抜くために大きな病院に行きました。近所の歯科では手に負えないらしいです。いくつか検査をして、先生はリラックスした様子で話してくれました。
先生:「いけますね。歯の近くに神経がありますね。まれにしびれが残ることもあるんです。気を付けてやりますから大丈夫でしょう。」
しびれが残る??? 急に不安になりました。
私:「しびれが残ることもあるのですか。」
先生:「たまにあります。数年残ってしまうこともありますが、ほとんどありませんよ。」
数年残る??? さらに不安になりました。
とても丁寧に説明をしていただき、細かなリスクまで教えてもらいました。ところがその細かなリスクのおかげでいよいよ不安が増幅。怖くなって抜歯を見送りました。
先生としては「絶対に起きない」とは言えないので、「まれに」とか「たまに」とか、可能性に触れたのでしょう。おそらく「悪いことが絶対に起きないとは言えないけれど、それを気にしていたら生活していけないよ、という程度の起きやすさ」なのだと思います。
それを聞いた私は、「万一でも悪いことが起きたら嫌だ」と感じました。ゼロリスクなんかあり得ない、と思っているのに。リスク評価とかロジカルシンキングとか、この手の本をたくさん読んできたつもりなのに。今日は不安でいっぱいになりました。
「プロと素人ではリスクの感じ方が全く違う」と何かで読んだことがあります。理屈で割り切る立場の方と、不安な気持ちが先立ってしまう立場の方との差と感じます。あるいは、日常生活に関わる度合いの差だと思います。
病院からの帰り道、不安が少し和らいで、どうせやらなければならないことなのだからと、抜歯をすることに決めました。怖い気持ちとなんとか折り合いを付けていこうと決めました。
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