読んだ本から気になった部分を記録しておく備忘録です。
『葉隠』は、佐賀藩の武士だった山本常朝が出家したのち口述したものをまとめた書物で、1716年(享保元年)に完成したとされています。しかしこれはずっと佐賀のごく一部で読まれていただけで、その存在が全国的に知られるようになったのは、明治39年に出版されてからのことでした。『葉隠』もまた、明治後期の武士道ブームによって日の目を見た一冊だったのです。
中略
私が思うに『葉隠』は思想書でも哲学書でもなく、山本常朝のいいたい放題トークショーなのです。トークショーですから、ホンネとタテマエが入り交じっていて矛盾点があっても不思議ではありませんし、一貫したテーマなどは、もともと存在せず、個々のエピソードを愉しめばよいのです。しかしどうも世の中の葉隠解説者やファンのみなさんは、私と意見を異にするようで、テーマや思想を見つけ出そうと苦心しています。
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このように、トークエッセイである『葉隠』をありがたい教典と誤解しているものだから、みなさんヘンな解釈や哲学を引き出そうとして失敗するのです。やはり古典は、現代人と昔の人の、思想や行動原理の違いを純粋に愉しむために読むべきものです。
最後の部分に共感しました。僕が旧約聖書を読んでいたときに同じ事を感じたからです。
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