観てから読むか
トランプの手品が好きです。ほとんど人には見せず、一人で練習して悦に入っています。
最近の手品の練習本にはDVDが付いていることが多くなりました。手品のやり方やトランプの扱い方については、いかに丁寧に書かれた文章であっても、映像には勝てません。さらに、映像なら手品の演技自体を存分に楽しめます。
トランプマジック愛好家の中で大きな反響を集めた本があります。それは、佐藤総さんの「カードマジックデザインズ」。

極めてマニアックな本なのですが、少しトランプ手品を勉強した人にとっては、宝物にしたくなる素敵な本だと思います。
この本にもDVDが付いています。とあるブログで「DVDを観る前に、絶対に本を開いてはいけない」と書いてあったのを読んでいたので、僕もまずDVDを鑑賞しました。
それは魔法としか思えない現象でした。何回観たでしょう、何度観ても秘密がわからりませんでした。ついに堪えきれなくなって本を開き、その秘密に触れた瞬間は自分の記憶が信じられなくなって、再びDVDを見直して、ようやく納得をしました。それ程に衝撃的でした。
間違いなく「観てから読んだ」事は正解でした。もし逆だったら、この感動はありませんでした。
芸能としての手品の醍醐味は不思議さにあると思います。「不思議だなあ」というふわふわした感覚を味わうことが最も大切だと思うので、映像付きの手品本は「観てから読む」が大原則だと思います。
読んでから観るか
一方で、「読んでから観る」のも悪くありません。
ゆうきともさんの「ゆうきとものクロースアップ・マジック」という本があります。ゆうきさんはとても優れた手品を多く発表していて、僕もファンの一人です。
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この本にもDVDが付いています。この本を買う前にゆうきさんの他の冊子やビデオを観ていたこともあって、この本は観る前に読み始めました。
トランプを片手に、本に書いてある通りに練習を繰り返します。作り手の意図が壊れないように、かつ自分がやりやすいように手順や技法を工夫するのも手品の楽しみの一つです。何度も練習を繰り返している内に、自分なりのやり方がどこかから降りてくるときがあり、それが楽しいのです。
そんなことをしつつ、一応は自分なりの形になったところでこの本のDVDを観ました。すると、思いがけないトランプのさばき方や、思いがけないテンポ、思いがけない話術など、不思議さとは別の、新鮮な驚きをたくさん味わうことができて、とても幸せでした。
文字の良さは読み手の想像を程良く広げてくれるところです。映像はとてもわかりやすいが故に、想像の奥行きを狭めてしまいます。
「読んでから観る」のも、楽しいです。
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