「病は気から」が嫌いです

「病は気から」という言葉は、体調が良くない方を励ますときの常套句です。でも、僕はこの言葉が好きではありません。

かぜ気味や、寝不足で頭が重いくらいの、数日で直るだろう程度の状態の人に掛ける言葉としてなら、何の問題もありません。元気のないときに他の方から声を掛けられること自体、基本的には嬉しいことだと思います。

でも、軽そうに見えても本人はとても苦しんでいる病気や、慢性的な病気、深刻な病気に対して、この言葉は、人によって辛い意味になります。

病気になっても前向きな人なら構いません。「落ち込んでいても仕方がない、気持ちだけでも元気でいよう」と切り替えて、少しでも幸せに感じていられる時間を増やせるならそれ自体が幸せなことだと思います。

でも、そんな人ばかりではありません。

病になって、なかなか直らなくて、直る見通しが見えない中で「病は気から」と言われたら、「病気になって今苦しんでいるのは、自分の心のせいなのか?」と、原因を自分に向けざるを得ません。病気の人にとってこの言葉は、「今の君の苦しみは、君の心が悪かった報いなんだよ」と他人から断罪されているに等しい言葉になります。相手に悪気のないことも理解しているから、怒るに怒れません。これは実に堪えるのです。

救世主を自称する人達は、よくこの言葉に類することを言う気がします。心を癒せば病も癒える。信仰は病より強い。直らないのは信心が足りないから。この人達は、他人の不幸の上にあぐらをかいていることすら気づかない、世界で一番幸せな生き物だと思います。これらの言葉がどれ程人を追い詰めるか、知っていて言っているのかも知れませんけれど。

病気の原因が、医学的には遺伝由来だったり、食生活だったり、生活態度だったりに見いだすことが出来たとしても、同じ原因を持ちながら発症しないで生きている人は多くいらっしゃいます。

では、病に苦しむ方、なぜあなたは病になったのか、知っていますか。それは、偶然です。運命の悪戯です。いくら理不尽で不条理でも、人間には絶対にわからないものの働きです。

決して、あなたのせいじゃありません。間違っても、心のせいじゃありません。

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