懺悔

自転車で5分くらいの町中に川があります。台風の最中、水が溢れたとのツイートを目にしましたが自治体からの発表はなく、本当なのかガセなのか、確かめに出かけました。

川に近づくと道路が白っぽく、粉塵が舞っていました。一面に薄く広がった泥が乾いて舞っているのでした。
川沿いの家屋や店舗が何件も泥にまみれていました。道端に家財道具が出されていました。大勢の人たちがマスクをして、泥をスコップですくい、モップで洗っていました。頭にタオルを巻いて、まるで運動会の準備のように、笑いながら片づけをしていました。シャベルで泥をすくう子もいました。運び出した椅子に座って、じっと動かないおばあさんもいました。

私はツイートを確かめるために出かけ、ぬかるんだ泥で災害に気付き、積み上げられた棚やテレビや人形でやり場のない悲しみを知りました。
それなのに、私は写真を撮り続けました。私は汗をぬぐって片づけをする方々に好奇の目とカメラを向けました。珍しい風景を手元に置いておきたいという好奇心と所有欲だったのだと思います。遠くから撮影したのは、多少の良心が働いたのだと思います。

以前、駅の構内で起きた人身事故を、多くの人がスマホで撮影していたとニュースで知り、私は嫌悪しました。今日、私は同じことを行っていました。

家に帰ってから自分のしていた事に気付き、愕然としました。被災した方々はカメラを持った私を見てどう思ったでしょう。濁った川の景色と欄干に絡まった大量の枯れ草の写真を残して、他は消しました。

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