子ども向けマジックショーが子ども向けじゃなかった話

近所で子ども向けのマジックショーがありました。演じるのはプロの方です。約2時間、マジックのみのショーとしては長丁場です。

マジシャンは子ども向けショーを長く演じてこられたとのことでしたが、残念ながら、寂しい思いをしました。

演目は、鳩出し、カード当て、フォークを曲げるマジック、プロジェクターを使ったクロースアップマジックなどです。おそらく大人向けとしてなら僕も楽しめたと思いますが、子どもが多く観るショーとして適当とは思えません。カード当てにするなら、トランプという覚えるのに負荷が高い道具ではなく、文字やイラストのカードにすれば良かったのに、と思います。

トークには「僕はとっても嬉しい」や「今日は暖かい人たちばかり」というプラスの雰囲気のある言葉が多用されていましたが、笑いの方向は、保護者に向けられていて、子どもたちを笑わせたいという思いが感じられませんでした。

子どもたちは些細なことでも元気いっぱいに反応してくれるから、当たり障りのない「お子さま向け」トークで慣れた演目をこなすようになってしまった気がしました。

ステージから会場へ、マジシャンが軽く質問すると大きな声で答える子。イリュージョンの装置の確認を依頼され、腹ばいで底を見ようとする子。「手伝ってくれるお友達は?」の問いに、全力で挙げられたたくさんの手。子ども達のリアクションは、ストレートで大胆で、無遠慮の割にポジティブです。

子どもたちの弾けるほどのわくわくを満たしてくれる、子どもたちがその場でしか味わえない驚きや感動を体験させてくれる、僕が見たいのはそんなパフォーマンスです。

私は子ども向けマジックのレクチャーDVDで評価が高い Bill Abbott さんの Magic For Kids を観たことがあります。見た目に理解しやすい演目や小道具、何よりアボットさん自身がパフォーマーとして素晴らしいことは、台詞がない場面でわき起こる子どもたちの笑い声で明らかです。子ども向けマジックを演じる方に見て欲しいDVDです。

 

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