
スイミングスクールでよくお会いする方がいます。初老の男性です。
その方はいつもクロールです。泳ぎは速いのに、水しぶきが見えません。その方のレーンだけ水面が穏やかです。ゆっくり、滑るように泳いでいきます。振り子のように同じリズム。同じフォーム。わたしがいる間、まるで修行のように泳いでおられます。
水面が静かなのも、ゆったり見えるのも、動きに無駄がないからなのでしょう。競泳のように速く泳ぐ機能美の一方で、ゆっくり泳ぐ機能美もあるのだなと思います。
人間がイルカのようななめらかさで水を進むのは異様で、美しいです。お話したことはありません。眺めて、拝んで、帰ります。
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